【財務会計】中小企業診断士二次試験対策!内部収益率の求め方を図解!
内部収益率は投資評価の指標としてクソと言われることが多いですが、試験範囲なのでちゃんと勉強しておきましょう。また、何がそんなに良くないのかを知っておくことで、実務上気をつけるべきポイントも見えてきます。
内部収益率の定義
内部収益率とは、投資の正味現在価値がゼロとなる割引率のことです。
内部収益率法による投資評価では、投資プロジェクトの内部収益率が資本コスト(必要収益率)を上回るかどうかで判断します。内部収益率>資本コストであれば、投資を実施すべきという判断になります。
内部収益率の問題点
内部収益率法では、正味現在価値法と同様にキャッシュフローの現在価値が考慮されている点で優れていますが、いくつか問題点もあります。
まず、電卓で計算しようとすると試行錯誤で導くことになるため、非常に煩雑です。資本コストが7〜8%の間に正味現在価値が0になるタイミングが存在するというところまでは分かりますが、正確な値を算出しようとすると0.01%ずつずらして計算してみるなどの工夫が必要になります。
また、将来予測されるキャッシュフローの符号が変わる時、複数の内部収益率が算出され、正味現在価値法を併用しないと意思決定ができません。
内部収益率の公式
内部収益率は次の計算式を解くことで求めることができます。
(内部収益率=IRR)
この式の投資額が0になる方程式を解けば、内部収益率が求まります。
複数の投資案があるときは正味現在価値法も併用して検討した方がいいです。これは、内部収益率法が投資の規模を考慮していないため、収益率は高いけれど正味現在価値の小さい投資案を選択してしまう可能性があるからです。
各年度のキャッシュフローが均等の場合
各年度のキャッシュフローが均等の場合、キャッシュフローの値をRとすれば、上の式は以下のように書くことができます。
0=R×年金現価係数ー設備投資額
つまり
設備投資額/R=年金現価係数
となります。年金現価係数を使えば、比較的簡単に内部収益率を求めることができます。とは言っても、正確な値ではありませんが。
こちらの簡便な求め方では、一次試験の範囲までは対応できるのではないでしょうか。
二次試験的な求め方
次に、二次試験でも使える求め方を見ていきましょう。そこまで難しくはないです。
比を使って求める
以下の簡単な例を元に、内部収益率の求め方を確認してみましょう。
※割引率をrとします。
この表の値から内部収益率を計算するとき、まずはNPV(r)の正負が逆転する割引率を求めることから始めます。
年金現価係数の表から、ひとまず7%の時のNPVを計算してみましょう。
NPV(0.07) = 2,500 × 2.624 - 6,500 = 60.00
値が正だったので、次は8%の時のNPVを計算してみます。
NPV(0.08) = 2,500 × 2.577 - 6,500 = -57.50
値が負になったので、NPVの正負が逆転する割引率は7%と8%の間だと分かります。
ここからはグラフを使って見ていきましょう。
x軸に割引率、y軸にNPVをとるグラフ上の座標で考えるととても分かりやすくなります。
上図のように、割引率7%と8%の時のNPVを座標に落とした2点を結び、NPV=0となる時のx座標を求めればいいことになります。
計算方法は以下です。
グラフ上で考えることで、相似な三角形を用いた比例計算が可能になります。中学生レベルの計算問題なので何も難しいことはないですね。
このようにして内部収益率を求めることができます。
今回は毎年のCFが一定である例を出しましたが、毎年のCFが異なる場合でも複利現価係数を用いて同じ計算ができます。
この計算をすると正確な内部収益率が算出できるため、しっかりと覚えておくようにしましょう。
まとめ
内部収益率は排他的投資案(案が2つ以上あり、どれか1つを選べというケース)に対して正しい順位づけをすることはできません。
これは前述の通り、内部収益率法は投資規模を考慮していないからです。投資規模が大きくてリターンが1億あるA案を、投資利益率がA案より少し高くてリターンが300万あるB案の方がいいですという分析結果になってしまうことがあるんです。だから、NPVも併用しないと意味がないんですね。
投資評価では内部収益率法はクソだと言われることも多いですが、中小企業診断士の試験範囲なのでしっかり学習はしておきましょうね!